選択科目「道路」について、過去問のテーマ分析を基に令和6年度の出題テーマを予想してみました。試験本番まであと少しですが、これから本格的な準備に入る方は参考にしてください。
道路Ⅱ-1の出題テーマ予想
道路の選択科目Ⅱ-1は、設計、制度、舗装、土工の4分野が、問題番号順通りに出題されています。この傾向は平成時代から続いており、R6年度も変わらないと思います。
Ⅱ-1-1の設計では、幾何構造(設計系)と交通量(計画系)のベーシックな問題が出題されています。幾何構造の問題が2年続いたので、今年は交通量に関する出題になると考えます。交通量に関しては、R2に設計時間交通量、R3に交通需要推計が出題済みなので、今年は交通容量に関する出題が予想されます。
Ⅱ-1-2の制度では、R4年度までは直近の制度改正に関連したテーマが出題されていましたが、昨年はH26法改正に関連した災害時の車両移が出題されました。そのため、出題テーマが予想し難くなったと言えます。今年は、能登半島地震もあったことから、R3の道路法改正により創設された防災拠点自動車駐車場がテーマになると予想されます。
Ⅱ-1-3の舗装では、計画設計、維持管理、製造施工のテーマが出題されています。R2,R5が計画設計、R3が維持管理、R1,R4が製造施工に関連するテーマです。今年は舗装再生便覧(R6年版)の改訂内容に関連したテーマになると予想されます。
Ⅱ-1-4の土工は、点検・設計・施工に関する出題に分類されます。直近4か年は、設計・施工に関する出題が続いたので、今年は昨年改定された道路土工構造物点検要領の改定に関するテーマが予想されます。
以下、私が考える令和6年度の道路Ⅱ-1の予想テーマです。
予想Ⅱ-1-1:交通容量の種類と概要、設計基準交通量の算定と用途
予想Ⅱ-1-2:防災拠点自動車駐車場の概要、災害発生時の活用方法
予想Ⅱ-1-3:アスファルト再生利用方法、繰返し再生利用の留意点
予想Ⅱ-1-4:特定道路土工構造物の説明、点検要領改訂のポイント
道路Ⅱ-2の出題テーマ予想
道路Ⅱ-2の過去5か年の出題は、Ⅱ-2-1が計画段階業務、Ⅱ-2-2が実施段階業務に分かれており、この傾向は今年も変わらないと思います。
Ⅱ-2-1の計画段階業務では、交通安全(R1,R3)、交通阻害(R2)、施設整備(R4,R5)に関するテーマが出題されています。これらの未出題テーマとしては、ゾーン30プラス整備計画、無電柱化計画、踏切改良計画などがあります。今年は災害時の交通阻害対策として無電柱化計画に関するテーマが予想されます。
Ⅱ-2-2の実施段階業務では、進捗管理(R1)、工事計画(R2,R3,R5)、対策検討(R4)に関するテーマが出題されています。これらの未出題テーマとしては、施設メンテナンスの進捗管理、災害復旧工事計画、高盛土の耐震検討などがあります。今年は能登半島地震被害も踏まえて、高盛土の耐震検討の出題が予想されます。
以下、私が考える令和6年度の道路Ⅱ-2の予想テーマです。
予想Ⅱ-2-1:緊急輸送道路の無電柱化計画業務
予想Ⅱ-2-2:高盛土区間の耐震性能確保検討業務
道路Ⅲの出題テーマ予想
道路Ⅲでは、直近で話題となったテーマが出題されており、今年もその傾向は変わらないと思います。昨年のⅢ-1は、R3.03の「第11次交通安全基本計画」を反映した出題テーマでした。また、昨年のⅢ-2はR5.02の「道路整備特別措置法・日本高速道路保有・債務返済機構法の一部改正」(改正特措法・機構法)を反映した出題テーマでした。
直近の話題としては、能登半島地震での道路網寸断による復旧の遅れが挙げられます。そのため道路Ⅲのテーマとしては、今回の被害状況を踏まえて、大規模地震における迅速な道路復旧の実現が出題される可能性が高いと予想されます。
各委員会で議論の最中ですが、土木研究所専門調査チームの中間報告(R6.2)を踏まえて道路技術小委員会が、道路技術基準の方向性(案)を3月末に提示してします。「道の駅」第3ステージ推進委員会は、5月の委員会で能登半島地震を踏まえた「道の駅」の防災機能強化についての課題や今後の方向性を示しています。また、国土幹線道路部会では、5月の部会で能登半島地震を踏まえた緊急提言の骨子(たたき台)を提示しており、6月には緊急提言が公表されることになっています。
道路Ⅲのもう一つのテーマとしては、道路におけるカーボンニュートラルの推進が予想されます。R5.09に推進戦略の中間とりまとめが公表され、①道路交通の適正化、②低炭素な人流・物流への転換、③道路交通のグリーン化、④道路のライフサイクル全体の低炭素化の4つの取組みと、各取り組みへの具体策が示されています。
以下、私が考える令和6年度の道路Ⅲの予想テーマです。
予想Ⅲ-1:大規模地震における迅速な道路復旧の実現
予想Ⅲ-2:道路におけるカーボンニュートラルの推進
まとめ
道路のⅡ-1は、例年通り設計、制度、舗装、土工の4分野に分かれて出題されるはずです。設計では交通容量・設計基準交通量、制度では防災拠点自動車駐車場、舗装ではAs舗装の繰返し再生利用、土工では特定道路土工構造物の点検を予想しています。
今年の道路では能登半島地震の教訓を踏まえたテーマが、どこかで出題されると思います。Ⅱ-2での盛土耐震検討業務、Ⅲでの迅速な道路復旧で出題される可能性が高いと予想しています。その他、Ⅱ-2では無電柱化計画業務、Ⅲではカーボンニュートラル推進の出題を予想しています。
道路は専門範囲が広いので、必ずしも自分の専門に合ったテーマが出題されるとは限りません。しかし、受験生の専門範囲が広いことは、作問者も承知の上で問題を作成しているはずですから、自分が答えやすい問題を見つけて諦めずに解答することが重要です。




