選択科目「道路」について、過去問のテーマ分析を基に令和7年度の出題テーマを予想してみました。試験本番まであと少しですが、これから本格的な準備に入る方は参考にしてください。
道路Ⅱ-1の出題テーマ予想
道路の選択科目Ⅱ-1は、設計、制度、舗装、土工の4分野が、問題番号順に出題されています。この傾向は平成時代から続いており、R7年度も変わらないと思います。
Ⅱ-1-1の設計では、幾何構造(R1,R4,R5,R6)と交通量(R2,R3)のテーマが出題されています。予想が難しい分野ですが、今年は直近の3年間と同様に幾何構造のテーマが出題される可能性が高いと考えます。幾何構造の問題は、道路構造令の規定に関する基本原理を問う問題が多く、今年は未出題の緩和区間に関するテーマが予想されます。
Ⅱ-1-2の制度では、道路法・関係法令における直近の改正内容が、出題テーマとなっています。R2では、コロナの影響で試験が9月に延期されたとはいえ、5月の道路法改正(2月閣議決定)で創設された歩行者利便増進道路が出題されています。今年は、4月の道路法改正(2月閣議決定)に関するテーマが出題される可能性が高く、連携協力道路がテーマになると予想されます。
Ⅱ-1-3の舗装では、計画設計(R2,R5)、維持管理(R3,R6)、製造施工(R1,R4)のテーマが出題されています。計画設計・維持管理・製造施工が3年おき繰返し出題されていることから、今年は、製造施工に関して、昨年不正利用で話題となった再生骨材利用に関連するテーマが予想されます。
Ⅱ-1-4の土工では、切土斜面(R1,R2,R5)、盛土擁壁(R4,R6)、土工施工(R3)に分類できます。道路土工については、能登半島地震での盛土被害を踏まえて技術基準の改定検討が進められています。R7では、技術基準の改定内容の一つである道路盛土の排水施設に関するテーマが予想されます。
以下、私が考える令和7年度の道路Ⅱ-1の予想テーマです。
予想Ⅱ-1-1:車道屈曲部の緩和区間の役割、区間長設定上の留意点
予想Ⅱ-1-2:連携協力道路の概要、法改正の背景と期待される効果
予想Ⅱ-1-3:As再生骨材の利用方法、再生混合物の製造上の留意点
予想Ⅱ-1-4:道路盛土の排水施設機能、排水対策強化における効果
道路Ⅱ-2の出題テーマ予想
道路Ⅱ-2の過去6年の出題は、Ⅱ-2-1が計画段階業務、Ⅱ-2-2が実施段階業務に分かれており、この傾向は今年も変わらないと思います。
Ⅱ-2-1の計画段階業務では、交通安全(R1,R3)、交通渋滞(R2)、施設整備(R4,R5)、公共交通(R6)に関するテーマが出題されています。これらはいずれも、地域の道路交通ニーズに対する整備計画業務です。同様の未出題テーマとしては、ニーズを踏まえた道路空間活用計画、道路事業に併せた無電柱化計画、踏切道改良促進法に基づく改良計画などがあります。このうち、今年はニーズを踏まえた道路活用計画に関するテーマが予想されます。
Ⅱ-2-2の実施段階業務では、進捗管理(R1)、工事計画(R2,R3,R5)、対策検討(R4)、点検計画(R6)に関するテーマが出題されています。これらはいずれも、個別現場の条件を踏まえた計画検討業務です。同様の未出題テーマとしては、橋梁補修計画、災害復旧工事計画、耐震化検討などがあります。今年は、能登半島地震被害も踏まえて、大規模地震で被災した道路の復旧工事に関するテーマが予想されます。
以下、私が考える令和7年度の道路Ⅱ-2の予想テーマです。
予想Ⅱ-2-1:地域ニーズを踏まえた道路空間活用計画
予想Ⅱ-2-2:大規模地震で被災した道路復旧計画業務
道路Ⅲの出題テーマ予想
道路Ⅲでは、直近で社会問題となったテーマや審議会・委員会の報告・レビューに関するテーマが出題されており、今年もその傾向は変わらないと思います。昨年のⅢ-1は、R5.10の「高規格道路ネットワークのあり方(中間とりまとめ)」を反映した出題テーマでした。また、昨年のⅢ-2は、R6.1の能登半島地震で問題となった道路啓開が出題テーマになっています。
道路Ⅲの一つ目の予想テーマとしては、道路分野の脱炭素化が挙げられます。R5.9に「カーボンニュートラル推進戦略(中間とりまとめ)」が公表、R6.12には「道路分野の脱炭素化政策集ver1.0」が公表されています。また、R7.4に成立した改正道路法でも、道路管理者が道路脱炭素化推進計画を策定する枠組みの導入などが法制化されています。
道路Ⅲの二つ目の予想テーマとしては、道路の防災機能強化が挙げられます。R6.6に幹線道路部会が「R6能登半島地震を踏まえた緊急提言」を公表、R6.7に「道の駅」第3ステージ推進委員会が防災機能強化を含む「中間レビューと今後の方向性」を公表しています。R7.4成立した改正道路法では、防災拠点となる道の駅整備やトイレコンテナなどの配備促進が法制化されています。
これらの動向を踏まえて、私が考える令和7年度の道路Ⅲの予想テーマは次のとおりです。
予想Ⅲ-1:道路分野における脱炭素化の取組推進
予想Ⅲ-2:災害対応を踏まえた道路防災機能強化
まとめ
過去6年間の問題分析から道路の特徴として、以下の点が挙げられます。
- Ⅱ-1は、設計、制度、舗装、土工の4分野4分野に分かれて出題され、制度では直近の法制度改正の内容が問われている
- Ⅱ-2は、地域の道路交通ニーズに対する整備計画業務、個別現場の条件を踏まえた計画検討業務に分かれて出題される
- Ⅲは、直近で社会問題となったテーマや審議会・委員会の報告・レビューに関するテーマが出題される
上記の特徴を踏まえたR7道路の予想テーマのキーワードは次のとおりです。
- Ⅱ-1は、設計が屈曲の緩和区間、制度が連携協力道路、舗装が再生骨材利用、土工が盛土排水施設
- Ⅱ-2は、1つ目が道路空間活用、2つ目が被災後の復旧計画
- Ⅲは、1つ目が脱炭素化の推進、2つ目が道路防災機能の強化
道路は、専門範囲が広いので、必ずしも自分の専門に合ったテーマが出題されるとは限りません。しかし、自分の専門分野から、人流・物流機能、防災機能、環境保全機能をいかに確保・維持させるかを考えて準備しておけば、いかなるテーマにもある程度対応できるようになると思います。




