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技術士合格への第一関門!受験申込書作成における5つの重要ポイント

受験申込

技術士第二次試験の合格に向けて、最初の関門となるのが受験申込書の作成です。最終関門の口頭試験でカギを握る受験申込書作成における重要ポイントを5つ紹介していきます。

ポイント1:技術士レベルのコンピテンシーを発揮した業務を準備する

現行の技術士制度は、遅くとも35歳位までに技術士資格を取得できるように設計されています。第二次試験は、JABEE修了者や第一次試験合格者のコンピテンシーが、修習活動により技術士レベルに達していることを確認する試験です。

技術士レベルのコンピテンシーとは、複合的なエンジニアリング問題を解決できる資質能力のことです。その最低レベルを示したのが、受験申込み案内等で公表される「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」です。

筆記試験では、解答内容からコンピテンシーの習得レベルが確認されます。口頭試験では、実務経験証明書に書かれた業務内容を参考にして、コンピテンシーの実践レベルが確認されます。

そのため、実務経験証明書には、技術士レベルのコンピテンシーを発揮して複合的な問題を解決した業務経歴を書く必要があります。コンピテンシーの修習期間が短い若い技術者は、1業務書ければ十分かもしれません。しかし、修習期間の長い中堅やベテランは、複数業務を書くことが必要です。

自分の業務経歴を振り返り、技術士レベルのコンピテンシーを発揮した業務を早めに準備しておきましょう。そのような業務を見つけ難い時は、①重大な事故・欠陥を防止した、②トレードオフ要求事項の最適化した、③マニュアル不在・適用不可に対応した、のいずれかに該当する業務を探すようにします。

これらの業務は、解決すべき複合的な問題と解決ストーリーが明確に説明できます。そのため、実務経験証明書で最も重要な「業務内容の詳細」において、技術士レベルのコンピテンシーを発揮した問題解決プロセスを書くことができます。

なお、第二次試験実施大綱では「専門的学識及び高等の専門的応用能力を判定する」と書かれています。技術士法を改正せずにコンピテンシー確認型に変更したので、表向きには法に則ってこのように案内されます。

 

ポイント2:経歴欄の業務内容は複合的な問題の解決が伝わるように書く

実務経験証明書で技術士レベルの実践経験を伝えるためには、経歴欄に複合的な問題を解決した業務内容を記載する必要があります。業務内容を端的に表記するには、「専門分野」、「複合的な問題」、「解決業務」の3つを表すキーワードを組み合わせるのが効果的です。

専門分野を表すためには、「地盤、土質、鋼製、コンクリート、道路、河川、工事、施工、環境」など、受験する選択科目と整合するさせるキーワードを最初の方で使います。

複合的な問題を表すためには、問題の特性ごとにキーワードを使い分けます。問題の特性は、①重大事故・欠陥を招く問題、②トレードオフの最適化問題、③マニュアル不在・適用不可問題、の3つに区分すると理解しやすくなります。

①重大事故・欠陥を招く問題では、「災害、事故、破壊、損失、崩壊、保全、影響」などのキーワードを使います。②トレードオフの最適化問題では、「安全、品質、工期、コスト」などのキーワードを2つ使います。③マニュアル不在・適用不可問題では、「手法、方法、改良、改善」などのキーワードを使います。

解決業務を表現するには、解決を表す「対策、復旧、究明、防止、短縮、保全、考案、最適化、最大化」などのキーワードと、業務を表す「計画、研究、設計、分析、解析、試験、評価、検討、策定」などのキーワードを組み合わせて最後の方で使います。

そうすると、「道路山側斜面の崩壊原因究明および復旧工法検討」、「橋梁架替工事の安全確保と工期短縮の最適化検討」、「河川改修に伴う希少生物の保全手法の検討と評価」のように、複合的な問題の解決業務を端的に表記できます。

 

ポイント3:詳述業務は問題解決ストーリーが明確な業務を選定する

業務内容の詳細で最も重要なことは、どんな複合的な問題を、どのように解決したかを確実に伝えることです。そのためには、複合的な問題の特性と解決に向けた課題を明確にする必要があります。

ポイント2で示したように、経歴欄の業務内容をキーワードを組み合わせて記載すれば、複合的な問題の特性と解決課題は、次の3ケースのように明確にできます。これらは、詳述業務の目的とも言えます。

<複合的な問の特性と解決課題の3ケース>
ケース1:重大な事故・欠陥発生の未然防止
ケース2:トレードオフの要求事項を最適化
ケース3:マニュアルが無く解決手法を考案

経歴欄には、上記の3ケースのいずれかに該当する業務が入っているはずですから、詳述する業務はその中から選択します。選択肢が複数ある場合は、問題解決の思考プロセスを示しやすいケースを選ぶべきです。また、口頭試験では詳述業務についての評価を確認されるため、完了後の評価・展望を行っている業務を選択するべきです。

経歴欄の1行目や2行目の古い業務を詳述する場合、試験官はなぜ近年の業務を選ばなかったのか疑問に思うはずです。その場合、口頭試験の際に最近の業務内容について、質問を受ける可能性が高くなります。5行目の業務の従事期間は、受験する年の3月までになるので、現在継続中で未完成業務だと思われかねません。

経験豊富な中堅・ベテランの技術者は、経歴欄の3行目や4行目の業務を詳述するのが無難です。経験の浅い若手技術者は、5行目の業務を選択してもかまいませんが、その場合でも、完成後の経過観察を継続して業務評価を行う旨を説明できるようにしておきましょう。

 

ポイント4:「業務内容の詳細」には複合的な問題の解決プロセスを書く

口頭試験では、実務経験証明書を参考にして、「実務の中で複合的な問題についての調査・分析及び解決のための課題を遂行した経験等」を確認することになっています。そのため、業務内容の詳細には、複合的な問題を解決したプロセスを書く必要があります。

受験申込み案内では、業務内容の詳細には「目的、立場と役割、技術的内容及び課題、技術的成果など」を書くように指示されています。しかし、詳述内容を成果で終わるのではなく評価まで記載した方が、複合的な問題の解決プロセスが伝わりやすくなります。

複合的な問題の解決プロセスが読み取れない場合は、口頭試験で説明を求められます。説明を聞いて問題解決の思考プロセスが不明な場合は、評価・マネジメントに関して、厳しい質問を受けることになります。そうならないために、次のようなタイトル構成にして、内容をバランスよく埋めていくのが良いでしょう。

<業務詳細のタイトル構成と記載項目>
【目的、立場・役割】:業務目的、立場・役割・責任範囲
【問題・課題】:調査、データ分析、要因評価、課題抽出
【提案・成果】:解決策の検討・提案、解決策による成果
【評価・展望】:波及効果、リスク・懸念事項、改善・応用

業務内容の詳細では、先進的な技術利用やビッグプロジェクトへの参加をアピールしようと考える人は多いと思います。しかし、そこをいくらアピールしても、あなたの問題解決能力は伝わりません。詳述業務の難易度や社会貢献度を採点するのではなく、あなたのコンピテンシーを採点することを忘れないようにしましょう。

 

ポイント5:「専門とする事項」で試験管との相性を良くする

選択科目の専門範囲はとても広いので、受験者と試験官の専門をある程度合わせなければ、筆記試験や口頭試験の採点を公正に行うことはできません。そのため、何らかの方法で受験者と試験官の専門をマッチングしているはずです。

受験者の専門は、「専門とする事項」でわかります。試験官の専門は、候補者名簿の「担当する専門分野」でわかります。この2つの書類から、受験者と試験官の専門を事務的にマッチングすることは可能です。

受験申込み案内では、「専門とする事項」は「選択科目の内容」の事項又は同程度の事項を簡潔に記入するよう指示されています。自由に記載してかまわないのであれば、わざわざ「選択科目の内容」を用意する必要がなく、それと同程度の事項で書くように指示する必要もありません。

「専門とする事項」は、自分と相性が良い試験官を決めてもらうためと割り切って、「選択科目の内容」から選ぶのが無難です。創作する場合でも、試験官の振り分けを意識して「選択科目の内容」に近い表現にしましょう。

「選択科目の内容」は、「並びに」「及び」「、」「・」が並んでいて非常に難解です。「並びに」と「、」は別項目をつなぐため前後の分野で試験官が異なり、「及び」と「・」は同項目をつなぐため前後の分野で試験官は同じと考えられます。

建設部門の場合、計画、調査、設計、施工・維持管理で、担当の試験官は異なる可能性が高いので、そこは明確に書いた方が良いでしょう。また、「選択科目の内容」にない「〇〇防災」などの表記は避けた方が安全です。このような表記をすると、どの専門の試験官に割り当てられるかわかりません。

 

まとめ

  • 口頭試験の参考資料となる実務経験証明書には、技術士レベルのコンピテンシーを発揮して複合的な問題を解決した業務経歴を複数書きましょう。
  • 複合的な問題は、「重大事故・欠陥を招く問題、トレードオフの最適化問題、マニュアル不在・適用不可問題」のいずれかの問題だと理解しましょう。
  • 経歴欄の業務内容は、専門分野・複合的な問題・解決業務の3つを表すキーワードを組み合わせて書くと、複合的な問題の解決業務を端的に表記できます。
  • 詳述する業務は、複合的な問題を解決した業務ののうち、業務成果の評価が完了している業務から選択しましょう。
  • 業務内容の詳細には、複合的な問題、調査・分析・抽出課題、解決策の検討・提案・成果、提案・成果、成果に対する評価・展望を書きましょう。
  • 「専門とする事項」は、受験者と採点者の専門をマッチングに使われるので、「選択科目の内容」から選びましょう。創作する場合でも極力近い内容としましょう。
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