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2019年度技術士受験をスタートする前に知っておくべきポイント

過去記事

2019年度の技術士試験の実施内容が公表され、そろそろ受験準備を始めようと考えている人も多いと思います。まだまだ不明な点は多々あるものの、公表されている事実や私になりの推測を交えて、受験スタート前に知っておくべきポイントをまとめてみました。

なお、下記リンク(日本技術士会HP)は必ず確認しておいてください。

平成31(2019)年度 技術士第二次試験の実施について

平成31年度 技術牛試験の試験方法の改正について

平成31年度 技術士試験の試験方法の改正についてQ&A

2019年度技術士試験のスケジュール

日本技術士会HPには受験者向けのスケジュールしか公開されていませんが、実は試験官のスケジュールも概ね決まっているので、並べて一覧表にしてみました。

試験官は科目ごと人数が決まっていて、問題を作る作問委員と答案を採点する採点委員は基本的に兼務です。また、採点委員は口頭試験の面接官も行います。

試験問題は約3ヵ月で作成し、答案は約1ヶ月で採点することが決まっています。

答案数の多い科目では、一人ひとりの答案をじっくり読んで採点していると考えない方が良いでしょう。例えば、建設部門の道路では、2,400人分の答案を6人の試験官で採点しているのですから。

業務経歴書の軽微変更

2019年度から受験申込書の業務経歴票が若干変更になります。日本技術士会は「軽微な変更」と言っていますが、変更内容は願書配布の4月1日まで不明のままです。

軽微ということですから、少なくとも経歴票5業務と業務内容の詳細720文字の形態は変わらないと考えて良さそうです。

受験申込書では、元号表記を西暦表記に変えるかもしれません。加えて、業務内容の詳細に求める記入内容が変更されると思われます。

今回の試験制度改正のベースとなっている、科学技術・学術審議会がまとめた「今後の技術士制度の在り方について」では、業務経歴票には「業務の内容、業務を進める上での問題や課題、技術的な提案や成果、評価及び今後の展望など」の記載を求めるとしています。おそらく、これに沿った表記の変更が行われると思います。

ですから、業務内容の詳細(720文字)は、以下のようなタイトルと内容で準備すると良いでしょう。

  • 【業務の内容】:業務概要、立場・役割
  • 【問題・課題】:問題分析、課題抽出
  • 【提案・成果】:解決策、得られた成果
  • 【評価・展望】:新たなリスク、改善策

業務内容の詳細は口頭試験で使われ、リーダーシップ、評価、マネジメントの資質能力を確認することになっています。ですから、関係者との調整、リスク対応、新たなリスクの把握を特に意識して書くことが重要になると思います。

筆記試験の出題形式

筆記試験の試験方法や出題内容はすでに公表されていますが、これで全てが明らかになったわけではなく、受験者はもとより受験指導者も不安は拭えないはずです。試験当日まで真実は明らかにされませんが、とりあえず私の予想を簡単に書いておきます。

Ⅰ必須科目

記述式に変更となったⅠ必須科目は午前中2時間(10時~12時?)、2問中1問選択して600字詰め用紙3枚で回答することが公表されています。

問題の内容はH24以前の建設部門の必修科目と同様と思いますが、技術者倫理も評価項目となったので、「技術士としてどのように行動すべきかを答えよ」などの設問が加わる可能性はあるでしょう。筆記試験前に技術士倫理綱領を読んでおくことをお勧めします。

建設以外の部門では、H24以前とかなり雰囲気が変わる部門もあるでしょう。少なくとも大量の資料を読んで答える問題形式はなくなり、現在のⅢ選択科目のような文字主体の問題形式に変わると思います。

これまで択一式で行われていたⅠ必修科目では、合格基準に満たない場合は、選択科目の採点が行われませんでしたが、新制度ではこれが廃止されます。いわゆる足切りが無くなったということです。

なお、Ⅰ必須科目の答案内容は、口頭試験で問われることはありません。

Ⅱ選択科目(専門知識・応用能力)

ⅡとⅢは、途中休憩なしの3時間30分(13時30分~17時?)通しで行われます。午後はⅡとⅢ両方の問題文と回答用紙がまとめて配られ、回答の順番や時間配分は自由になるはずです。

これまでは、Ⅱ-1専門知識問題が4問中2問選択して1枚ずつ回答、Ⅱ-2応用能力問題が2問中1問選択して2枚で回答する形式でした。しかし、これは長年それで行われているからそうだとわかるのであって、公表されていたものではありません。公表されていたのは、合計回答枚数など限られた情報のみです。

これが新制度では変わるのですが、公表しているのは合計回答枚数が4枚から3枚に減ること、専門知識と応用能力で出題内容と評価項目が違うこと、問題数が回答数の2倍程度ということだけです。つまり、変更になったのは合計回答枚数のみで、内訳はこれまで同様に公表されていません。

Ⅱ-2を大きく変更する必要性はないでしょうから、専門問題が1枚回答に変更され、応用能力はこれまで通りだと予想されます。

コンピテンシーで定めた専門知識には、①選択科目に関する専門知識と②法制度及び社会・自然条件に関する知識があり、ⅠとⅢの問題では①のみを確認し、Ⅱの問題では①②の両方を確認するようです。そのことから、Ⅱ-1専門知識の問題は、これまでの出題内容と少し変わるかもしれません。

Ⅲ選択科目(問題解決能力及び課題遂行能力)

この問題は、これまで解題解決問題と呼ばれていたものです。課題解決という表現が、問題解決及び課題遂行という表現に変わっただけで、基本的には内容が大きく変わることは無いでしょう。

Ⅱで時間を使いすぎて、Ⅲが時間切れとならないように注意すべきです。私的にはⅢ→Ⅱ-2→Ⅱ-1の順で回答する方が安全策だと考えます。

Ⅲの答案は、これまでと同じく口頭試験に持って行かれます。口頭試験では評価(新たなリスク)を確認されるので、その内容が薄い回答は、口頭試験で質問を受けることになると思われます。

また、コンピテンシーの「問題解決」に書かれている「複合的な問題」の理解度の差が、採点結果に大きく影響すると思われるので、その意味を正しく理解しておく必要があるでしょう。

受験資格の確認

今回の制度改正で受験資格に変更はありません。これまで通り上図の3経路のいずれかになります。どの受験資格で受けても有利不利はありません。

一次試験を受けていないJABEE出身者は経路1又は経路2、一次試験を合格して7年以上なら経路3の受験資格で受けるのが普通です。経歴には大学院の年数も加算できますが、大学院の証明が別途必要になります。

技術士補以外の実務経験とは、専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導の業務のことです。

JABEEを卒業して会社に4年勤務しているなら、申し込めば受験票は来ると思いますが、入社一年目から専門的応用能力を発揮した人は極めてまれなはずです。合格のためには、中身の濃い仕事が最低4年~7年分必要となります。

受験資格を証明する書類の準備

受験申込み時には受験資格を証明するために、以下の書類のいずれか一つが必要になります。提出期限間近になって慌てないように、早めに準備しておくことをお勧めします。初受験以外の人は、g)の受験票を使うのが一般的です。

  • a) 技術士第一次試験合格証〔コピー〕
  • b) 技術士第一次試験合格証明書〔原本〕
  • c) 指定された教育課程(JABEE)の修了証書〔コピー〕
  • d) 指定された教育課程(JABEE)の修了証明書〔原本〕
  • e) 技術士補登録証〔コピー〕
  • f) 技術士補登録証明書〔原本〕
  • g) 平成15年度以降の技術士第二次試験受験票〔原本〕
  • h) 平成15年度以降の技術士第二次試験合格証〔コピー〕
  • i) 平成15年度以降の技術士第二次試験合格証明書〔原本〕
  • j) 技術士第一次試験合格証番号・合格年月確認書〔a)、g)を紛失の場合〕

上記のうち、

b)、i)の技術士試験合格証明書は、文部科学省のHPから申請書をダウンロードして郵送で取寄せられます。

技術士試験合格証明書(文部科学省)

d)のJABEE修了証明書は出身校から取寄せになります。

j)の一次試験合格証番号・合格年月確認書は技術士試験センターにFAXで申請して取寄せることになります。詳しくは4月に配布される受験申込み案内に記載されています。

初受験に必要な添付書類や捺印

初受験の時には、受験資格を証明する添付書類や受験者以外の捺印がいろいろ必要となります。過去の受験票があれば、経歴票5業務の下に公印(社印)は必要ありませんが、初受験の場合は必ず捺印が必要です。

大学院での経歴を含めなければ受験資格が満たない場合は、「修了証(学位記)のコピー」「修了証明書の原本」「在学期間証明書の原本」のいずれか1つが必要になります。出身大学から取寄せが必要となります。

一次試験合格者及びJABEE出身者が、経路2「業務上の監督者の下での実務経験が4年以上」の資格要件で初めて受験する場合、「監督者要件証明書」と「監督内容証明書」が必要となります。

監督内容証明書は、修習技術者としての修習内容を書くので、修習期間が長いとそれなりのボリューム書かなければいけません。監督者は所属する組織の上司(技術士でなくても良い)であれば問題ありませんが、監督者が変わり複数の場合は、それぞれの証明書が必要となります。

技術士補の実務経験で初めて受験する場合は、指導技術士の捺印が必要になります。指導技術士が社内の場合はすぐに捺印をもらえますが、社外の場合は時間を要するので、その分の時間的余裕を見ておくべきです。

なお、補助する技術士が社外の場合は、経歴票の勤務先は自分の会社ではなく、補助する技術士の会社になります。勤務先が他社の経歴票は、かなり違和感がありますので、経路2での受験も検討した方が良いと思います。

会社が変わり、前の会社の業務経歴のみで初めて受験する場合は、前の会社から捺印をもらう必要があります。現在無職なら最終勤務先から捺印をもらう必要があります。

いずれも、書類作成や捺印に時間がかかるため、提出期限に余裕を持って準備すべきです。

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