PR

テーマ「i-Construction」から連想する4つのキーワード

過去記事

国土交通省が2016年から本格導入した「i-Construction」。それに関するワードを4つだけ選ぶとしたら、「労働人口減少、ICT全面活用、生産性向上、担い手確保」となりました。この4ワードの意味や課題を考え、これらを使って「i-Construction」を説明してみます。

「労働人口減少」とは

人口減少、少子高齢化が進むことによって、現役世代の働き手が少なくなり、必要な労働力を確保できないということです。労働人口減少は、建設分野だけの問題ではなく、すべての産業において深刻な問題です。

社会経済は、各産業が複雑に絡み合って成り立っているので、問題も複雑になっています。建設現場一つをとっても、現場の労務者や資材の製造・運搬関連の労働者はもちろん、工事関係者の衣食住関連、エネルギーや情報関連まで多種多様な産業が関わってきます。

人口減少に伴う問題は、近年の国土交通白書でも取りあげられていますが、2016年の白書では、労働者の減少に着目してi-Constructionの必要性が示されています。

 

「ICT全面活用」とは

IT、AI、IoTを駆使して労働者不足を補い、品質を確保することです。i-Constructionでは、建設における計画、設計、施工、維持管理、更新のすべてのプロセスにおいて、ICTを全面的に活用することを目指しています。

i-Constructionの先進的事例として、ICT土工というのがあります。ドローンで測量、地形と設計の3Dデータを建設機械に入力、無人で施工して出来高をドローン測量で確認するイメージです。

現場の技術者は、ドローンや重機の遠隔操作やデータ管理が主な仕事になります。そのため、若い技術者が経験を積まなくても現場で活躍できるメリットはありますが、土質や地下水の変化に対応できないなどの問題があります。

また、工事データは維持管理に引き継がれることになるため、一元的にデータ管理するシステムが進むことになります。データ管理の一元化は、システムダウンに陥ると全てが一気にストップしてしまうリスクが高くなり、セキュリティ強化が課題となります。

 

「生産性向上」とは

より少ない労働力とコストで生産できるということです。i-Construction により、将来的には生産性は現在の約2倍となり、一人当たりの生産性は5割向上すると言われています。生産性が上がるということは、企業が儲かるので経営が安定し、従業員の賃金も増えるということです。

自動車などの製造業では、生産ラインの改善やロボット化を進めて、生産性向上を図ってきました。一方、建設産業は「一品受注生産」、「現地屋外生産」、「労働集約型生産」のため、他産業のような生産性向上への取り組みが進みませんでした。それがi-Constructionで大きく変わり、建設産業でも生産性向上が進むようになります。

コンクリート構造物であれば、これまでは現場で型枠や鉄筋を組み、コンクリートを流し込んで造っていました。これがi-Constructionでは、プレキャスト部品を工場で作って、現場で組み立てるようになります。標準化された部品を工場生産するので、一品生産や屋外生産は解消され、労働力も現場と工場に分散されます。

 

「担い手確保」とは

次世代を担う建設技能者、技術者を確保することで、i-Constructionの主目的とも言えます。これまで建設業は、3K(きつい、汚い、危険)イメージが根強くあって、しかも給料が安い、休みが無いなど、若者に毛嫌いされる産業でした。

これに対しi-Constructionは、ICTの全面活用や生産性の向上により、建設業を綺麗で安全、高賃金で休暇取得しやすい職業に変え、優秀な若者を継続的に確保しようとするものです。

担い手確保の課題としては、ICTへの依存による基礎力・考察力の習得、熟練者のノウハウ継承、災害時での対応力習得など、必要技術者への育成が挙げられます。また、i-Constructionは、国や大手企業で進んでいますが、地方自治体や中小企業での浸透が遅れていて、担い手確保における格差拡大も課題と考えます。

 

4つのキーワードを用いたi-Constructionの説明

日本は労働人口減少が進み、建設産業においても次世代を担う技能者、技術者の確保が大きな課題となっています。i-Constructionは、ICTの全面的活用やコンクリートのプレキャスト化等により、品質確保と生産性向上を実現させ、魅力ある産業への転換により、継続的に担い手確保を図る取組みです。今後の課題として、ICTの全面的活用では、ICT土工における土質や地下水の変化への対応、データの一元管理におけるセキュリティの強化が挙げられます。また、担い手確保の課題としては、入社後の技術習得や技術継承、i-Construction進捗度による格差拡大が挙げられます。

タイトルとURLをコピーしました