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技術士口頭試験で失敗しないために、答えを準備すべき5つの質問

過去記事

仕事上での立場、経歴票業務での役割は?

この質問は、組織や部署での役職を聞いているのではありません。技術的に責任ある立場か否か、業務のどの部分で役割を果たしたかを答えるべきです。

ベテラン受験者にありがちなのが、「組織を管理する立場です」との答えです。この答えでは、マネジメント職なので技術的な実務はやっていないと思われます。管理職なら、「私の部署で扱う・・技術の管理責任者です」くらいの答えは用意すべきです。

若い受験者は、経歴票の役職欄に、技師や技術員などと書いています。「技師とは、どういう立場ですか?」と聞かれ、「部署で一番下の役職です」と答えると、技術的責任を負わない立場と思われます。たとえ組織で一番下の役職でも、「・・技術に関する・・部分を任されています」と、部分的にでも責任を持つ立場だと答えるべきです。

詳述業務が技術士にふさわしい理由は?

この質問の答え方次第では、絶対に不合格になるので、十分な準備が必要です。回答を準備するにも、「技術士にふさわしい」捉え方がポイントになります。

技術士にふさわしい業務とは、専門知識と応用能力を駆使して、高度な技術課題を解決した業務のことです。ですから、どのような課題があったか、それをどのように解決したかを答えなければいけません。課題と解決プロセスをはっきりさせることが重要です。

詳述業務を以下のようなストーリーで説明すると、聞く方としても理解しやすいと思います。

  • 普通の方法に課題があるので、違う視点で検討し合理的に解決した。
  • 確立された手法が無いので、他の手法を応用して合理的に解決した。
  • トレードオフ関係に課題を見つけて、分析を行い合理的に解決した。

詳述業務には高度だと思う業務を書いているでしょから、「特殊技術、新技術、難しい技術」を使ったことをアピールしたい気持ちは分かります。口頭試験でも、そこを強調して「高度な技術を使ったから、技術士にふさわしい業務」と説明しがちになります。

しかし、いくら高度な技術を使っても、課題を解決できなければ意味がありません。そして、高度な技術で課題を解決したとしても、課題がさほど難しくなければ、わざわざ高度な技術を使った意味は薄くなってしまいます。

  • すごく簡単な課題を、すごく難しい技術を駆使して解決した
  • すごく難しい課題を、すごく簡単な技術を応用して解決した

どちらの説明が、技術士にふさわしいかは明らかだと思います。

失敗事例とそこから得た教訓は?

失敗事例は、「こんな失敗をしました」で終わるのではなく、その失敗から得た教訓を次にどう生かしたかが重要です。

失敗事例は人それぞれ違うので、一概には言えませんが、失敗談をこんな感じで説明すれば、試験官はうなずいて聞いてくれるはずです。(ちなみに私の失敗談です)

「地下水が高い地盤の掘削面を標準勾配で設計したところ、施工時に掘削面が崩壊した経験があります。幸い作業員に怪我は無かったのですが、一歩間違えば大変な事故を起すところでした。それ以降、土質と地下水を把握する重要性を認識し、標準勾配で設計する場合でも、崩壊リスクについて、発注者や施工者に説明するようにしています」

受験者の中には、「失敗事例は無い」という人がいるかもしれません。でも、結果失敗まで至らなくても、小さなヒヤリハット事例くらいはあるはずです。それでもいいので、質問されれば何がしか答えた方が良いと思います。

倫理違反事例ととるべき対応は?

「倫理違反事例を挙げてくさい」と聞かれるはずです。あるいは信用失墜事例を聞かれるかもしれません。

それに対し、データ改ざん事件を答える人は多いと思いますが、事件の内容を答えると、「会社からデータ改ざんを強要されたら、あなたはどうしますか?」との質問が返ってくるはずです。この質問も、答え方を間違うと致命的になるので要注意です。

準備していないと、その場しのぎで「会社を辞めて、マスコミにリークします」などと答えかねません。これでは、間違いなく不合格となります。

「社長を説得します」と答えても、「あなたは社長を説得できる立場ですか?」とか、「発注者からも改ざんを頼まれたらどうする?」などと聞き返されるはずです。

答え方としては、「まずは粘り強く上司などを説得し、それでもダメなら公益通報者保護法に基づき公益通報し、第三者に判断を委ねます」で良いはずです。

技術士の義務責務と設定理由は?

3義務(信用失墜行為の禁止・秘密保持・名称表示)と2責務(公益確保・資質向上)の暗記は必修ですが、設定理由を聞かれる可能性があるので準備すべきです。以下は、私の個人的解釈ですが、参考にしてください。

「信用失墜行為の禁止」の設定理由は、一人の信用失墜行為によって、資格全体の信用が失われ、技術士がその役割を果たせなくなるからです。技術士は、ハイリスクな科学技術を取扱う者なので、役割を果たせなくなれば、国民が害を受けることになります。

「秘密保持の義務」の設定理由は、技術士が知り得た秘密をばらすと、ばらされた相手に直接的被害が及ぶからです。この条文のみ罰則規定があるのは、被害者は刑事告訴が可能なので、有罪となれば刑事罰が必要となるからです。

「名称表示義務」の設定理由は、20の技術部門にまたがる資格なので、どの部門の技術士かか分からなければ、専門的応用能力を必要とする仕事は任せられないからです。名称表示義務は、技術部門の表示までで、科目の表示の義務はありません。

「公益確保の責務」は、国民の生命財産に危険が及ぶ可能性が高い仕事に携わるので、個人や組織の利益より公の利益を優先することを規定するため、2000年の法改正で追加されたものです。公益とは、公共の安全、環境の保全のことです。

「資質向上の責務」は、APECエンジニア制度や他の国際資格との整合を取るために、2000年の法改正で追加したものです。CPDは、クライアントに対して技術研鑚を継続していることを証明するために必要な制度です。

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