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令和2年技術士試験対策:建設部門「土質基礎」の出題テーマ想定

過去記事

建設部門で受験者数の多い「土質基礎」科目について、過去5年分の出題傾向から今年度の出題テーマを想定しています。選択科目Ⅲの想定問題も掲載しますので、これから準備する方は参考にしてください。

選択科目Ⅱ-1(土質基礎)の出題テーマ

選択科目Ⅱ-1の4問は、土質・地盤と土構造・基礎の2分野に分かれていて、各分野2問ずつ出題されています。いずれもベーシックなテーマばかりで、トレンディーなテーマの出題はありません。したがって、同様のテーマが繰返し出題されています。

土質・地盤分野では、物性値を知る調査試験、圧密沈下や破壊、液状化に関するテーマが出題されています。同じテーマは、2年連続して出題されていないようです。昨年は透水試験と液状化が出題されました。今年は圧密沈下、支持力、盛土施工に関するテーマから出題される可能性が高いと思います。

土構造・基礎分野では、斜面のり面、杭基礎、土留めに関するテーマが出題されています。昨年は切土のり面と土留めが出題されました。今年は杭基礎・直接基礎、擁壁・土圧に関するテーマから出題される可能性が高そうです。これまで出題されていない補強盛土・補強土壁も、今年は想定しておいた方が良いかもしれません。

 

選択科目Ⅱ-2(土質基礎)の出題テーマ

選択科目Ⅱ-2出題テーマ(業務)は、Ⅱ-1と同様に、土質・地盤と土構造・基礎の2分野に分かれます。いずれも、軟弱地盤や崩壊性斜面などの地盤条件が模式図で示され、住宅地や近接施工などの施工条件が付与されます。

出題テーマの対象施設としては、「杭基礎・土留め」と「盛土・切土」が毎年出題されています。昨年は、杭基礎と盛土を施設対象とした出題でした。盛土については2年連続して出題しており、杭基礎は連続して出題されたことはありません。

そのため今年は、切土のり面対策や土留め工に関する検討業務が、出題される可能性が高いと思います。今年も、例年同様の地盤条件や施工条件が付与されるはずです。過去問における付与条件を再確認して、リスク評価のための調査項目、業務遂行手順、関係者調整を整理しておくと良いでしょう。

 

選択科目Ⅲ(土質基礎)の出題テーマ

選択科目Ⅲは、トレンディ―なテーマが出題されます。昨年のⅢ-1は、道路土工構造物点検要領の発行タイミングに合わせた出題でした。また、Ⅲ-2のテーマは、土木研究所の土木事業における地質・地盤リスクマネジメント検討委員会での審議が、始まったタイミングに合わせた出題でした。

この土木研究所の委員会は、福岡市地下鉄の陥没事故に関連するH29審議会答申「地下空間の利活用に関する安全技術の確立について」に基づき設立されたものです。今年3月には、「地質・地盤リスクマネジメントのガイドライン」を公表していますから、内容を把握しておきましょう。

ガイドラインでも指摘していますが、地盤リスクマネジメントの導入・運用には、まだ多くの課題があります。そのため、今年の出題テーマは、地盤リスクマネジメントに関連したものになる可能性が高いと思います。

また、地盤工学会は、H30年7月豪雨による地盤災害に対して会長特別委員会を設置し、昨年から国交省に提言書を提出しています。提言報告会の内容については「地盤工学会 会長特別委員会最終報告会」のサイトに資料がアップされています。

地盤工学会の豪雨による地盤災害への提言、H29審議会答申での液状化対策への提言を踏まえると、今年は地盤構造物の耐災害性に関する出題も想定しておく必要があると思います。

以下は、この2つのテーマで作成した選択科目Ⅲの想定問題です。

R02「土質基礎」選択科目Ⅲの想定問題

Ⅲ―1 土木施設の多くは、地盤をそのまま、あるいは改変して基礎等として活用し、機能を確保している。しかし、事前に全ての地盤情報を明らかにできないことから、土木施設の安全性や建設の効率性に対するリスクを常に抱えている。そのため、地盤に関わる事故やトラブルを最小化し、安全かつ効率的に事業を進めるための仕組みとしての地盤リスクマネジメントの導入・運用が必要である。
(1)地盤リスクマネジメントを効率的に導入し運用するため、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

Ⅲ―2 我が国では、地震災害、水害、土砂災害が毎年のように発生しており、被災した地盤構造物(盛土、切土、擁壁、構造物基礎等)の復旧が頻繁に行われている。また、南海トラフ地震や首都直下地震などの巨大地震の発生が迫っており、気候変動に伴う豪雨災害の激甚化も進んでいる。そのため、地盤構造物の耐災害性の強化が、より一層求められている。
(1)今後発生する大規模災害を想定した地盤構造物の補修・補強を進めるにあたり、技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

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