選択科目「土質基礎」について、過去問のテーマ分析を基に令和5年度の出題テーマを予想してみました。試験本番まであと少しですが、これから本格的な準備に入る方は参考にしてください。
土質基礎Ⅱ-1の出題テーマ予想
土質基礎のⅡ-1は、調査解析系と設計施工系の問題が2問ずつ分かれて出題されています。昨年は、1-1と1-3が調査解析系、1-2と1-4が設計施工系の問題でした。いずれもベーシックなテーマばかりで、同種テーマが繰返し出題されており、今年もその傾向は変わらないと思います。
調査解析系では、軟弱地盤や液状化地盤の支持力に関するテーマが繰返し出題されています。液状化に関しては、昨年出題されなかったことから、今年は液状化対策の原理や適用上の留意点に関する出題が予想されます。軟弱地盤では、これまで出題が無かった水平地盤反力係数に関するテーマが予想されます。
設計施工系では、土留め、擁壁、斜面・地すべり、盛土、杭基礎と幅広く出題されていますが、土構造物と基礎地盤に分類できます。昨年は、1-2が土構造物、1-4が基礎地盤の問題です。土構造物では、擁壁・盛土が連続して出題されたので、今年は土留め掘削に関する出題が予想されます。基礎地盤では、基礎関連が連続して出題されたことから、今年は斜面・地すべりに関する出題が予想されます。
以下、私が考える令和5年度のⅡ-1の予想テーマです。
令和5年度、土質基礎Ⅱ-1の予想テーマ
予想Ⅱ-1-1:既設構造物基礎の液状化対策の原理、適用の留意点
予想Ⅱ-1-2:水平地盤反力係数、室内・原位置試験での推定方法
予想Ⅱ-1-3:土留め掘削底面の盤ぶくれ発生要因、事前事後対策
予想Ⅱ-1-4:斜面崩壊と地すべりの特性、抑止工法の適用留意点
土質基礎Ⅱ-2の出題テーマ予想
土質基礎Ⅱ-2では、地盤構造物の設計施工に関連した対策検討業務が出題されます。問題文には必ず模式図が示され、地形・地盤・土質・構造物などの重要な情報が与えられます。模式図に書かれている文字や数値には、作問者の意図が込められているので、しっかり意味を読み解くことが重要です。
過去4年間の出題テーマを見ると、土質地盤に関するテーマと土留基礎に関するテーマの2種類のテーマが、それぞれ1問ずつ出題されています。今年度も、この2種類のテーマが出題されると思われます。
土質地盤に関しては、R1~R3まで盛土のテーマが3年連続し、R4は切土がテーマでした。この流れからすると、今年も切土斜面がテーマになる可能性があり、構造物切土のり面変状や地すべり対策斜面の再活動などの出題が予想されます。
土留基礎では、テーマは必ずしも連続しれおらず、昨年が杭基礎だったことから、今年は、山留めに関するテーマの出題が予想されます。
以下、私が考える令和5年度のⅡ-2の予想テーマです。
令和5年度、土質基礎Ⅱ-2の予想テーマ
予想Ⅱ-2-1:高速道路におけるアンカー併用切土のり面の変状対策検討業務
予想Ⅱ-2-2:沖積粘性土地盤での大規模山留工事における安全管理計画業務
土質基礎Ⅲの出題テーマ予想
土質基礎Ⅲの2問は、地盤構造物の新規建設と維持管理のテーマがそれぞれ出題されます。過去4年分を見ると、新規建設のテーマでは不確実性対応・災害対策・環境技術・生産性が出題され、維持管理のテーマではサイクル計画・ICT導入・アセットマネジメント・災害リスク評価が出題されています。
新規建設・維持管理のいずれも、各年違うテーマが出題されており、この傾向は今年も変わらないものと考えます。そのため、今年も新設段階・維持管理の未出題テーマが出題される可能性が高いと言えます。
新規建設では、重要テーマの一つである品質確保の出題が予想されます。問題文としては、盛土・切土・擁壁・基礎などの構築に共通する内容で問われると思います。そのため、品質確保における地盤情報のデジタルデータ活用のあり方が問われる可能性が高いと考えます。
維持管理では、長寿命化や予防保全推進などが問われる可能性があります。個別施設の長寿命化計画は策定されているとは言え、のり枠や下部工の見える部分しか実態を把握していません。見えない地盤内部の構造物をどのように長寿命化し、予防保全型の維持管理に切り替えていけば良いのかが問われる可能性は高いように思います。
以下、私が考える令和5年度の土質基礎Ⅲの予想テーマです。
令和5年度、土質基礎Ⅲの予想テーマ
予想Ⅲ-1:新設地盤構造物の品質確保におけるデジタルデータ活用
予想Ⅲ-2:既設地盤構造物の長寿命化に向けた予防保全型維持管理
おわりに
土質基礎の特徴としては、Ⅱ-1がベーシックな同種テーマが繰返し出題されること、Ⅱ-2は土質地盤と土留基礎に関するテーマに分かれること、Ⅲは地盤構造物の新規建設と維持管理に関する未出題テーマが出題されることなどが挙げられます。
トレンディーなテーマが少ないので、他の選択科目に比べると出題テーマを予想しやすいのですが、それだけに完成度が高い解答が求められるでしょう。Ⅲの問題解決では、地盤特性を踏まえた専門的解答をしなければ、A判定を取るのは難しいと思います。




