選択科目「土質基礎」について、過去問のテーマ分析を基に令和7年度の出題テーマを予想してみました。試験本番まであと少しですが、これから本格的な準備に入る方は参考にしてください。
土質基礎Ⅱ-1の出題テーマ予想
土質基礎のⅡ-1は、調査解析系と設計施工系の問題が2問ずつ分かれて出題されています。いずれもベーシックなテーマばかりで、同種テーマが繰返し出題されており、今年もその傾向は変わらないと思います。
調査解析系では、調査試験、圧密変形、液状化に関するテーマを組み合わせて、繰返し出題されています。R5は1-2液状化と1-3圧密変形の組合せで、R6は1-1調査試験と1-3圧密変形調の組合せでした。圧密変形のテーマが2年連続していることから、今年は、調査試験と液状化の組合せになる可能性が高いと思われます。調査試験では地盤貫入試験、液状化では危険度判定に関するテーマが予想されます。
設計施工系では、土構造物(擁壁、斜面・地すべり、切土・盛土)と基礎土留(直接基礎、杭基礎、土留工)が、毎年1問ずつ出題されています。R5は1-1杭基礎と1-4地すべりの組合せで、R6は1-2杭基礎と1-4切土(地山補強)の組合せで出題されました。土構造物では、地すべり抑止・地山補強と類似テーマが連続しているので、今年は盛土・擁壁に関して、補強盛土の出題が予想されます。また、基礎土留めでは杭基礎のテーマが2年連続で出題されていることから、今年は土留工のヒービングに関するテーマが予想されます。
以下、私が考える令和7年度のⅡ-1の予想テーマです。
予想Ⅱ-1-1:地盤貫入試験の種類と原理、試験結果利用の留意点
予想Ⅱ-1-2:液状化の危険度判定方法、結果利用における留意点
予想Ⅱ-1-3:補強盛土・補強土壁の安定原理、盛土材料の留意点
予想Ⅱ-1-4:土留掘削面のヒービング発生原理、対策上の留意点
土質基礎Ⅱ-2の出題テーマ予想
土質基礎Ⅱ-2では、過去6年間、土工工事のテーマと土留基礎工事のテーマが1問ずつ出題されており、この傾向は今年も変わらないと思います。また、いずれの年度も、模式図を使って地形・地盤・土質・構造物などの条件が複雑に与えられています。
土工工事のテーマを工種別に見ると、盛土工事が4回(R1,R2,R3,R5)、切土工事が1回(R4)、半地下施工が1回(R6)出題されています。要因別でみると、軟弱地盤が2回(R1,R2)、スレーキングが1回(R3)、豪雨湧水が2回(R4,R5)、高地下水位(R6)となっています。このように工種と要因の組合せたテーマが出題されており、今年は未出題の地震で崩壊した切土のり面の復旧業務が出題されると予想されます。
土留基礎工事のテーマを工種別で見ると、土留工事が2回(R3,R5,R6)、杭基礎工事が3回(R1,R2,R4)出題されています。土留工事では、いずれも地下水・砂質地盤・近接施工を付与条件としています。杭基礎工事では、いずれも地下水・互層地盤・支持層を付与条件としています。近年は土留と杭基礎が交互に出題されていことから、今年は杭基礎のテーマになる可能性が高く、互層地盤における杭基礎施工の検討業務が出題されると予想されます。
以下、私が考える令和7年度のⅡ-2の予想テーマです。
予想Ⅱ-2-1:地震で崩壊した切土のり面の復旧対策検討業務
予想Ⅱ-2-2:市街地における相互地盤の杭基礎施工検討業務
土質基礎Ⅲの出題テーマ予想
土質基礎Ⅲの出題テーマは、地盤構造物の建設段階と維持管理段階に関する内容に分かれます。R1~R4およびR6は、建設段階と維持管理段階のテーマが1問ずつ出題され、R5のみ2問とも建設段階のテーマが出題されています。
建設段階のテーマとしては、不確実性対応(R1)、防災対策(R2,R5,R6)、環境対策(R3,R5)、生産性向上(R4)が出題されています。維持管理段階のテーマとしては、計画策定(R1)、ICT導入(R2)、群管理(R3)、リスク評価(R4)、築50年対応(R6)が出題されています。
土質基礎Ⅲでは、ある程度大きなテーマを示した上で、地盤や土構造物の特性を踏まえて解答を求める特徴があります。また、近年の問題では、前文に時事ワードが入っており、最近の社会背景を踏まえたテーマが、出題されやすいと思われます。
そのため、建設段階では人手不足を背景としたデジタル技術による省力化、維持管理段階では八潮市の事故を踏まえた地盤変状リスクへの対応が、今年のテーマになると予想されます。
以下、私が考える令和7年度の土質基礎Ⅲの予想テーマです。
予想Ⅲ-1:地盤構造物建設におけるデジタル活用による省力化
予想Ⅲ-2:地盤内の施設老朽化に伴う地盤変状リスクへの対応
まとめ
土質基礎の特徴としては、Ⅱ-1が調査解析系と設計施工系の問題が2問ずつ繰返し出題されること、Ⅱ-2は土工工事と土留基礎工事のテーマが1問ずつ出題されること、Ⅲは地盤構造物の建設段階と維持管理段階のテーマが出題されることが挙げられます。
上記の特徴を踏まえたR7土質基礎の予想テーマのキーワードは次のとおりです。
- Ⅱ-1は、地盤貫入試験、液状化危険度判定、補強盛土/補強土壁、土留掘削ヒービング
- Ⅱ-2は、1つ目が震災後の切土のり面復旧、2つ目が相互地盤の杭基礎施工
- Ⅲは、1つ目がデジタル活用・省力化、2つ目が施設老朽化・地盤変状リスク対応
土質基礎のⅡ-1、Ⅱ-2共にベーシックなテーマが繰返し出題される傾向があり、出題テーマを予想しやすい反面、解答の完成度を上げないとA判定が難しいと言えます。そのため、広く浅く準備するのではなく、自分の知識・経験から答えられるテーマについて深く掘り下げて準備するのが効果的だと思います。
Ⅲの問題解決では、時事ネタが使われるため、必須科目と同じような解答になりがちです。そのため、地盤や土構造物の特性を踏まえて課題を抽出することが、合否を分けるポイントになると思います。




